

—ビッグイッシューをはじめることに周囲の反応はいかがだったのですか?
「これは99パーセントじゃなく100パーセント失敗する」と友人が心配して言ってくれるんですよ。
失敗する理由の1番目は雑誌なんか作っても活字離れした若者は読まない。2番目は路上で商いをする風習や文化が日本にはない。3番目は情報が無料の時代になったこと。4番目はわざわざホームレスに近寄って購入する人はいない。これらの4重苦が理由だということなんですね。
この4つの反対理由は今でも決して間違いではないとは僕も思うんです。
それでもやると決めたからには僕に迷いはなかった。記者会見などで僕を試すように4重苦についての質問が投げかけられるんですが、絶対にひるまず「そうです。おっしゃる通り4重苦なんですね。でもそれこそが僕らにとって4つの優位性なんです!」と反論するわけなんです。
1番目の活字離れについては、「若い人はみんな携帯電話で活字を使っているでしょ? 活字を使って発信する時代なんですよ」と。
2番目の路上販売については、「全国の繁華街の真ん中にビッグイシューしか取り扱わない生きた書店ができるんです。これが優位性でなくて何なんですか?」と反論しました。
3番目の情報は無料の時代だということについては、「ビッグイシューはタブーのない雑誌です。記者の皆さんがビッグイシューをご覧になったら記事を書きたくなると思いますよ。皆さんはどこか規制があって本当に書きたいことを書けないんじゃないですか? それで高いか安いかは読者に決めてもらうしかないじゃないですか」とアグレッシブに答えるんです。
4番目の「ホームレスの人たちから誰も購入しないのでは?」には、ホームレスの人たちは、東京であれば上野から新宿など炊き出しのために歩いて移動しています。足腰が強くなかったらホームレスはできないですよ。「命を懸けて生きている人が販売してくれるんです。皆さんの中に命懸けで仕事をしている人がいたら手を挙げて下さい!」と言ったらみんな手なんか挙げられないんです。(笑)
こんな風に反論するとその反論の正しさというよりも、どんな問題にも真正面から引き受けて必死にやっているという僕らの態度が伝わったんですね。「こいつら本気や」と。
困難な状態が出てきた時、何が困難なのかを自分で掴むことができたら後は乗り越えるだけです。あきらめようかと思った時に何が原因なのか? なぜ、あきらめなければいけないのか? しっかり自分で見極める。困難を見極めることこそが「あきらめないチカラ」のスタートなんですよ。
