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「絶対失敗する」といわれる状況でも、あきらめないチカラ 有限会社 ビッグイシュー日本 代表 佐野章二さん

赤字が続く中でも、積み重ねてきたことに手応えがあった。

—販売をスタートしてからはいかがでしたか?

 2003年にスタートした時は1部200円で販売していました。最初の6ヶ月はよく売れましたが、それ以降は…。200円のうち110円が販売者の収入ですが、一号あたり4万部販売できれば事業が継続できると考えていたんです。8万部販売できた号もあるので、決して手の届かない目標ではなかったのですが、どうしても毎号1万部ぐらい足りなかった。2年目の終わりごろから「値上げしてもいいのでは?」という周囲の声もあったんですが、僕は値上げをしたくない。300円だと、あと幾らか足せば普通の週刊誌が買えるんですね。それが200円なら他に引き合いにだせるものがない。だから僕は4年間、地方展開も進めたりしながら200円で頑張ったのですが、大赤字だったんですよね。


 それで2007年の10月から300円(内160円が販売者の収益)にさせて頂きました。5割という非常識な値上げでしたが販売数は減らずに、むしろ増えたんです。お客様が減ったら潰れるかも…という状況だったのですが、重大決断という感じはしなかった。4年間耐えてきたことを読者に率直に言うしかない。実はビッグイシューの読者は約8割がリピーターです。そういう意味では、積み重ねて来たことにそれなりの手応えはあったんです。それで結果としては劇的に収支が回復し、5年間かけて単年度黒字の構造がやっと作れました。着実に何かを積み重ねて行けば、どんどん力が付いていく、そういうことを感じました。


—次の展開はどのようにお考えですか?

 ビッグイシューでは我々がメーカーでホームレスの方々は販売代理店、そういうドライな関係こそが結果として自立を応援していくことになりました。
 一方でホームレスになると希望を失ってアルコールなどの依存症になったりする方が多いのですが、そういった問題にも病院や行政などと一緒にサポートをすることが必要だとビッグイシューを始めた頃から思っていました。そこで、“敗者復活”しやすい社会の形成にチャレンジし、ホームレスの人たちが再び社会に復帰できるようにするNPO法人としてビッグイシュー基金を設立したんです。医療や住宅相談など生活の自立応援、キャリアカウンセリングや資格取得などの就業応援、様々なクラブ活動を通した文化スポーツ活動応援、主にこの3分野を組み合わせて多面的なサポート事業を行っています。ビッグイシューとビッグイシュー基金という両輪が上手く回り出した時にやっと成功したと言えるので、これが当面の課題と目標ですね。


—今のお仕事は「好きなこと」、「得意なこと」、「価値を感じること」のいずれですか?

 全てです。仕事はハードだけれどストレスは無いし、気分良く仕事をしています。気分良くということは仕事に価値を感じるし、自分の力も発揮できるし、楽しく仕事をしているということですよね。スタッフにも気分よく仕事をしてもらえるように努力しています。(笑)


—就活生にメッセージをお願いします

 厳しい就職環境の中で、何とか正社員に…という気持ちは分かるし、否定はしないです。でも人のためや社会のために働くという生き方もあると僕は思っています。若いころはこの道しかないと1つに絞るのではなくて、2つも3つも道があってもいいと思います。自分の心の中のやりたいことを考えて欲しいんです。まずは考えるだけでもいいんです。そうすれば仮に1つの道からそれても別の道が2つも3つもある。そういう時代だと思いますので、1つのことだけに囚われないようにしてください。

Data
有限会社 ビッグイシュー日本
有限会社 ビッグイシュー日本

2003(平成15)年 5月設立
大阪市北区堂島2-3-2 堂北ビル4F
http://www.bigissue.jp/


特定非営利活動法人ビッグイシュー基金
2007(平成19)年 9月設立
http://www.bigissue.or.jp/
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