
タクシー会社ならではの街づくりを提案する森崎社長。マイコネPRESS vol4「あきらめないチカラ」インタビューでは、森崎社長より「あれほど嫌だと思い込んでいた仕事が天職に」というお話をお聞きしました。今回はその続編として森崎社長が地域との関わり方を考える大きな転機だったと話す「震災復興に力を尽くしたお話」、そして「地域と関わるその想い」をお伺いしました。
マイコネ:近畿タクシーとして震災復興に取り組まれたことを教えていただけますか?
森崎社長:長田の再開発の時、震災で感じた人々の「優しさ」がこの街のキーワードになると思っていたんです。この街にロンドンタクシーを走らせるわけにもいきませんし、「優しさ」をテーマに何かできないか考えました。それで環境に優しい「天然ガスタクシー」と人に優しい「ユニバーサルデザインタクシー」を提案しました。 天然ガスタクシーはトヨタさんと大阪ガスさんの協力で開発することができました。 テーマが震災復興地域での「優しさ」、それに全国初の天然ガスタクシーでしたから大手企業がこんな小さな会社相手にとことんやってくれました。テーマと企画が良ければどんな企業とでもコラボレートできるんですね。 これら二つの車両で僕は震災復興の街づくりをしようと思って自分の経営資金を全部投入しました。それは企業活動として・・・ということ以上に、震災後の焼け跡に立って「よし!! 街づくりする」と決意した気持ちが強かったからなんです。
マイコネ:商店街の方々と復興活動に取り組んだお話をお聞かせください。
森崎社長:「街づくりをしたい」と思ってから、商店街の会合にも足を運ぶようになっていたんですが、震災復興にいろいろな手を打って来て5年が経ち、6年目に差し掛かったあたりで、峠に座り込んで立ち上がれないような疲れが見えてきたと感じていました。
そんな時に商店街の会合で、「森崎君さっきから何か物言いたそうな顔しているけど言うてみ?」と聞かれました。それで僕は立ちあがって、「ここ長田を観光の街にしたい! 宣言します!!」といったんです。
僕は、みんなから「この街を見せものにしてもらったら困る」とか反論もあると思ったんですが、こんなやりとりがありました・・・。
「森崎、観光って何を見るねん・・・? 何を・・・?」
「観光というのは光を観ると言うじゃないですか。
光と言えば、みなさんが頑張ってきたこと、これは輝いて見えますよね。」
「そうやろうか・・・?」
「そうやろうかじゃないですよ。忘れたいこともいっぱいあります、
でも伝えなあかんこともいっぱいあるじゃないですか。みなさん、みなさんが頑張ってきたその姿を見せる。」
「そういう意味か!? 俺か、俺を見せるんか・・・、それでどうするねん?」
「広島にも被爆体験を伝える語り部がありますよね。皆さんが震災の語り部になるんです。」
「あれだけの大災害の中で俺達は生き残ってきた・・・。そう言えば俺たち震災のこと伝えられるな、語り部か・・・。それで誰が来るねん?」
「よくぞ聞いてくれました! 社会見学や社会学習で修学旅行生が来てくれる。やりがいあるじゃないですか。」
「観光客だな?」
「観光客です。だから物も売れるじゃないですか。 皆さん、客がこないからってさぼっていたらあきません、売り物のブラウスも干乾びているじゃないですか!!」
「客が来るんだな。客が来たらそれで十分じゃないか・・・。」
観光客が来て地域に活気が戻るなら震災の話もしよう、そういう気持ちにみんながなりました。もしこの話を一年前にしていたら僕はきっと叩かれていた、もし一年後であれば疲れ果てていたかも・・・、僕は絶妙のタイミングに出逢ったのかもしれません。