

—自分の好きなことを見つけられる学生さんはどのような方が多いのですか?
自分で何か積極的に取り組んでいる人は、わかりやすく出てくるね。それは、陸上部だから陸上が好きなわけでなくて、自分が打ち込むものへの取り組みを通じて、こんなことが好きだと感じとっている。
仕事(キャリアライフ)は40年ぐらいあるので、退職するとき「社会にこんなに貢献できた」とか「いい仕事ができた」と振り返れたらハッピーだと思います。
だから何かやることだろうーな、思いっきり。好きなことが何なのかは、いろいろチャレンジしてみる中でわかってくる。好きなことがないという人は何もしていないのではないかと思います。
挑戦も成功も失敗もしていない。突然、自分の好きなこと、できること、価値を感じることなんて考えても…、分かるわけがないんですよ。だから何でもいいから闇雲にやってみる、それしかないような気がするんだよなぁ。
アクション、一歩踏み出す。それにつきると思います。それがいかに大切かというメッセージを、みんなに最初に伝えなければいけないんだろうね。
—アクション以外に、豊かな学生生活を送るために大切なことはありますか?
成功体験も凄く大事だけど、失敗体験。
ある企業の方がね、「仕事は最初の3年間は9割が失敗なんだ。失敗しても次の日に落ち込こまず、ニコっと笑って出てこられるかどうか(が大事)」と言うのです。それは凄く体力がいるんですよ。
(社会人基礎力として)一番大事なのは精神的体力で、失敗してもくじけない力。「先生、学生にいっぱい失敗をさせてあげてください」と、彼は言うのです。大学はどう成功させるかを教えているのに…、と思うのですが、当たっているんですよね。
就職してから失敗するとね、なかなか取り返しのつかないことがある。だからやっぱり「学生時代に失敗をいっぱい経験しておけ」というのは本当に一理あると思います。
—精神的体力をつける失敗体験とはどのような例がありますか?
例えば、好きな人に声をかけて失恋する。これは精神的体力がつくよね。自分はどんな人間で、何ができるかをつきつめて考えるのは、好きな人ができた時じゃないですか!?しかも世の中はうまくいかないもので、ふられて挫折感を味わい、 どうやったら立ち直れるかを学ぶのも実は恋愛だったりするわけで、大いに恋をしなさい!!という感じはある。挫折や失敗の中で、なぜできなかったかを考えると、考え抜く力もつきます。考え抜かなければいけないわけだから、そういうことが本当に鍛えてくれる、人間を。
※社会人基礎力とは、職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事をしていくために必要な基礎的な力のことであり、社会人基礎力の3つの能力を「前に踏み出す力(アクション)」、「考え抜く力(シンキング)」、「チームで働く力(チームワーク)」としている(2006 年度2月 経済産業省)
—自分を知る他に社会を知る必要があると仰っておられましたが、どうすれば?
働いている生の姿を見る以上のことはない気がします。関学キャリアセンターの公務員を目指すセミナーで学生を霞が関に連れて行くんだよね。先輩OBがきてキャリアパスを話す。何年目にはこういうことをやったとか。中には入省1年目で「お前は国家なんだからな」と先輩にいわれて身が引き締まったとかいう話を聞く。
数週間平気で家に帰らない、滅茶苦茶ハードな仕事をなぜできるかっていったら、23〜24歳で「お前が日本国家なんだ」といわれるような覚悟と自覚を持って働いているからだったのです。
そういった「何が辛くて、何が楽しくて、結局この仕事に自分を繋ぎとめているのはこれだ!」という話を生で聞くと、その価値を共有したいと思う人がそこで働きたいと思うわけですよね。その実感は生の話を聞くまで出てこない。だから一番必要なことはロールモデルを見ること。生の先輩を見ること以上に何もない。
インターンシップに行くのもそういう意味でいい。1〜2週間とか一緒に居るときに、ずーっと嘘をついている訳にはいかないんだから、生の姿を見せるしかないわけでしょ。学生にとって刺激になるし、インターンシップも一つの重要な場ですね。